「共通言語」としてのICFの在り方を議論(医療介護CBニュース)

 厚生労働省は1月24日、ICF(国際生活機能分類)の教育や普及について考えるシンポジウム「生活機能分類の活用に向けて」を都内で開催した。医療や介護、ソーシャルワークといった専門職種間だけでなく、障害や疾病を持つ当事者とも意思の疎通ができる「共通言語」としてのICFの在り方などを議論した。

 ICFは、人の生活機能と障害の分類法として2001年5月にWHO(世界保健機関)の総会で採択された。心身の健康状態と併せ、その人を取り巻く社会的な状況などについての項目も盛り込んでおり、障害や疾病を持った人やその家族と保健・医療・福祉など幅広い分野の従事者が、障害や疾病の状態についての共通理解を持つことなどを目的としている。

 前半の講演では、国立長寿医療センター研究所の大川弥生・生活機能賦活研究部長が、ICFを「『生きることの全体像』についての共通言語」と定義。対象者の全体像を見落とすことなく把握し、障害や疾病の当事者が自分の問題を分析し、希望を伝えたり、専門職と意見を統一したりする際などにも活用できると説明した。

 また、日本介護支援専門員協会の木村隆次会長は、介護予防で使用するアセスメントシートが、健康状態だけでなく運動・移動、日常生活、社会参加、対人関係などの領域を確認する形式を採用しており、ICFの考え方が盛り込まれているとのとらえ方を示した。また、ケアプランを進める上で、利用者とサービス提供者が目標を共有するのにICFの「共通言語」という概念が役立っており、「目標と言葉を共有できると、達成に向けた意欲が生まれる」と述べた。

 後半のシンポジウムでは、千葉大医学部付属病院の藤田伸輔・地域医療連携部准教授が 日本の保険病名はICD(国際疾病分類)でコード化されているが、「それを意識することなく日常的な言葉として活用している」と述べた上で、難解と見られがちなICFについても、「すべてのコードを覚える必要はなく、普通に使う言葉が、ICFだったら何に相当するのか、それが分かるようなツールをつくることが課題ではないか」と語った。

 また、座長の日本社会事業大の大橋謙策学長は、社会福祉の分野では1970―90年代までは施設中心にサービスを提供し、在宅で課題となる家族関係や生活自立能力などは問題にせずに済んでいたと説明。「病院や施設の中では自立できても、自宅では自立できないこともあったのではないか」と指摘し、「在宅で生活すると(疾病や生活など)全体を考えなくてはならない」と述べ、ICFを活用できる可能性があることを示した。


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